CGデザイナーだからこそUnityを学ぶべき

こんにちは。今回は第3回Vアカオーディションにおいて、VRアカデミー賞を受賞したアドバンスコース受講生、伊東佳佑さんにインタビュー
をおこないました。

伊東さんの経歴を教えていただけますか?

私は多摩美術大学でグラフィックデザインと手描きアニメーションを学びました。そして大学の卒業制作を作成するために初めて3DCGに触れました。大学のカリキュラムには全然そういった講義は無く、卒制で優秀作品に選ばれたいと考えたときに、周りが誰もやっていない3DCGならどうか?と考えました。そこで、卒業3ヶ月前に3dsMaxをなんとか覚えて作品を制作し、優秀作品に選んでいただくことができました。

卒業後、家庭用品のメーカーに就職して1年半ほどパッケージデザイナーをしていました。しかし、アニメーションを作る夢を諦めることができず、改めて本格的に3DCGを勉強しに一年半、デジタルハリウッドに通いました。

その後、デジタルハリウッドで卒業制作として作った3DCGアニメーション作品(Old Umbrella)が賞を取るなどし、その後更に半年かけて制作した3DCGアニメーション作品(GROW)が、SIGGRAPH ASIAで上映されたんです。そのあたりから仕事をいただけるようになり、今に至っています。

伊東さんは何故VRに関心を持ったのですか?また、なぜVRを学ぼうと思ったのですか?

最初は単純に仕事が忙しくて趣味をあまり持っていないことに気がつきました。そこで、家で出来る何か新しいものはないかと考えた時にVRに目を付けたんです。とりあえずまずはやってみようと思いまして、Viveを体験してみたらこれが凄く面白かった。それに自分は3DCGを扱えるし、VRコンテンツを作ることもできるのでは。と考えまして、検索でVRアカデミーを見つけ、その場ですぐに申し込みをしました。

 

3DCGアーティストがUnityを覚えることについてはいかがですか

もともと、3DCGを触っているような方がUnityを覚えるものだと考えていたので、意外とそういった方は周りにいなくて驚きました。今の3DCG業界には確実にリアルタイムレンダリングの潮流が来ていると感じますので、3DCGアーティストの方は触れて損はないと思っています。

VRシューティングゲーム「アビス・ダイバー(AbyssDiver)」を制作した理由についてお聞かせください

まずはVRを学習し扱えるようになった、というわかりやすい成果を示せるものを作りたいと考えました。VRアカデミーでは、作品が評価されれば、全国のネットカフェに展開しているVIRTUALGATEに、作品をリリース出来ます。そこでまずは、そのリリースを目指して制作しました。

作品作りの具体的な工程は、課題をいただいた瞬間から1週間程度でプロトタイプを作成。検証して面白くなければ破棄。別のプロトタイプを制作する。このようなことを繰り返しました。これらの作業の中で、プログラミングのスキルもおおよそ身に付きました。それから、「これならいける!」と感じたプロトタイプをもとに本格的な制作を開始しました。

残り半年の目標やチャレンジしたいことを教えてください。

6DoFのVRアニメーション作品に挑戦したいです。国際映画祭でも、VRのセクションが立ち上がって来ている動きがあります。半年でそれに
向けたプロトタイプを制作できればと考えています。

VR映像作品のこれからについてはいかがお考えですか?

例えばアートアニメーションにはいろいろな面白い手法があります。ビーズを動かしたり、ガラスに描いた絵をストップモーションで撮影したり。そういった表現手法の広がりがVR制作の世界でも起こり、VR表現も進化していく。そういった流れを楽しみにしています。

きっとVRの世界はまだ未発掘のものだらけで、今はチャンスだと捉えています。私自身にも、なにかオリジナルの作風をVRの世界に、見つけたいと思っています。

 

日本と海外での反応の違いについてはいかがですか?

経験からですが、CGアニメーションを発表した時に日本より海外からの方が全然レスポンスが多いんです。なのでVR作品を発表する際は、海外を拠点にしたいと考えています。

例えば北欧だと作家性を楽しむ文化も多く、そういった作者に対する国の支援がある場合もあります。そういったところも考えながら、活動していきたいと思っています。

最後に、これからVRを学びたい、作りたい人たちに向けてメッセージがあればお願いします。

フリーランスの立場から本音を言えば、同業者が増えてしまうと困る、という面もあります(笑)ですが、そんな野暮なことは言わず、やっぱりみなさんとVRを楽しめたら嬉しいです。

VRを触り始めてまだ半年足らずですが、やっぱりまだ底が見えない面白さを感じ続けています。魅力を感じたなら、ぜひすぐに始めてみましょう。

 

VR空間で感情は生まれるのか

VRアカデミー1期生で現在株式会社アタリで働いている河内拓也さんにインタビューを行いました。修了制作として制作した「不審者VR」をはじめ、VRソフト開発に関することを中心に質問をしました。

 

まずはじめに河内さんの経歴を教えてください。

はい。私は中学生の頃にプログラミングを初めて、商業高校の情報処理科を卒業したあと、1年間専門学校に通っていました。その後Web系の会社に就職したのですが、大学が面白そうと感じて退職し、上智大学の社会学部に入学しました。その時は気になる業界がなかったのでITの大きいところで働いてみたいと思いまして、IBMに入社しました。

そこで2年ほど働いたのですが、主に業務がインフラに関する内容だったので形の見えにくい仕事だったんです。そこで目に見える仕事をしたいと考えまして、退職し、NHN PlayArtに転職してゲーム開発に携わりました。しかしその時丁度社内でインフラ部門が分社化することになりまして転属になり、そこで新規事業担当として結局インフラを担当することになりました。そういうこともあってもう一度人に見える仕事をしたいと思って、そのときに盛り上がっているVRを学んで見ようと思い、VRアカデミーに入学し、卒業後、株式会社アタリでエンジニアとして働いています。

修了制作物として「不審者VR」を作ろうと思った理由はなんですか?

不審者VRを作ったのは、1つの可能性の模索として、VR空間上で人がコミュニケーションをしてみたときにちゃんと気持ちが生まれるのか。というのを実験してみたかったというのがあったんです。

もともと大学で学んでいたのが社会学というもので、人が二人以上いる時の人間のあり方について研究する学問をやっていたので興味があったんですね。

VR空間の中でも現実と同じようなコミュニケーション、例えば気になる人に対して声をかけてドキドキしてしまうことだったり、変なことを言ってしまって気まずい雰囲気を味わう。そんなようなことをVR空間上でも体験することが出来ればきっと他のVRでも起きることだと思うので研究の1つとしてやってみたいと思ったのです。

実際にその気持ちを体験することが出来ましたか?

自分が開発しているわけで、探求のために何回も体験するんですよ。何度も繰り返した結果、結局感情が何も生まれてこず、最初は失敗したという感想でした。しかし実際に展示してみて、初体験の人には非常に面白い感覚が得られたとか、単純に面白いと言ってもらえたりしたので、結果としては感情を生み出すことが出来たんじゃないかと思います。

河内さんのような斬新なアイデアはどこからくるものなのでしょうか?

それはやっぱり体験量なんじゃないでしょうか。一時期VRのソフトを5~60本以上体験していた時期がありまして、そういった経験が生きているんだと思います。なんでもそうですが、実際に体験してみないと何が面白くて何がつまらないのかが理解出来ないと思います。

あと、私はアイドルが好きなのですが、最初の頃はアイドルを追いかけている中でVRを通していつでも会える環境があれば非常に便利だと感じていたのです。その時考えていたのがVR握手会で、現実のアイドルの握手会をリアリティを持って出来ないかを考えていたのですが。

現実のアイドルを表現するということになったら、3Dモデルが非常に重要になります。そのとき作ろうとしたときは、そこまでクオリティの高い3Dモデルが無料でも有料でもあまり手に入らない。特に日本人女性に関してはほとんど存在しない状態だったので、それでそのアイドルと握手をするコンテンツをつくってもあんまり意味がないなぁと考えたのです。

じゃぁ何が出来るのかと考えたとき、普通の女性に対して不審者が声をかけるというのは作れるんじゃないかと考えてそっちに落ち着いた形です。

河内さんはそういった企画をたくさん考えて、ほぼ1週間でプロトタイプを作って来られたわけですが、その方法とは何でしょうか?

VRのプロトタイプの作り方は映画に似ているんですけど、まずはどういったシーンを作りたいのか。そしてストーリーですね。そのソフトはどんな人をターゲットにしていて、その人がどんな属性を持っているのかきちんと考えた上で企画を考える必要があります。VRの場合、どうしたらスムーズに没入することが出来るのかを考えながら企画を作りましたね。

例えば不審者VRのときに考えたのは、どうしたらプレイヤーが不審者に成ることが出来るのかについてです。そのとき再現したのは、ビールを飲んだり、上司に対してムカついている状態で、その上で前から女性が歩いてくれば不審者になりきれるのではと考えたのです。

そしてシーンが決まれば実際に夜道を観察しました。コンテンツの中身は「夜道に女性に声をかける」というシチュエーションなので、それが自然に起こりやすい夜道とはどんな雰囲気なのかを様々な夜道を探検してきて調べました。その情報から実際に3Dモデルを選んだりしてステージを作成しました。

また実際の夜の明るさってどんなものなのか。女性の歩き方であったり、人とすれ違う際の視線の動きなどをしっかり観察して、なるべく現実に近くなるように調整しました。

最後は音ですね環境音や足音などは実際に録音して、現実と同じように聞こえるように何度も調整して、忠実に再現出来るように努めました。

アセット素材などの探し方のポイント等はありますか?

個人制作の場合、アセット集めは無いものは無いで妥協するしかないと思います。逆にアセットストアにある素材を基準にストーリーを合わせるほうがやりやすいと思います。また音に関しては実際に録音してしまったほうが早いです。特に日本の場合アニメ系の音が多いのでリアリティを出したいのであれば現実の音を録音するほうが良いと思います。

今現在の職場を選んだ理由についてお聞かせください。

現在はARやAI、センサー類などを使った研究開発とプロダクト開発を中心に働いています。何故今の職場を選んだのかと言うと、当時不審者VRを作っていて強く感じたのが日本には3Dモデルの選択肢が非常に少ないということです。実際にモデルを作るとなるとお金がかかってしまい、結局そこが凄いボトルネックになってしまっているんですね。そんなときにアタリにお邪魔させて頂いた際、そういった3Dモデルを作るということにフォーカスしていきたいという社長の方針を聞き、また広告会社の受託開発等もしているので、より人に魅せられる。楽しい作品。新しい作品が作っていけそうだと感じまして、そんな関係で入社させていただいています。

最後にVRを学びたい、作ってみたい方たちに向けて応援のメッセージをお願いします。

VRを作るというスキル自体は簡単に出来るようになると思います。あとはどこまで妄想出来るかだと思います。自分の作りたい作品のビジョンを明確にすることで、学ばなければいけない技術がわかったり、その技術が伸びることで更に作りたいモチベーションが上がっていくと思います。

しかし一つだけ注意があります。VRのゲームや市場で起こりがちなんですけど、この業界は職人的に作る人が結構多い気がします。それだと複数人で開発するための方法とか、きれいなコードの書き方が分からないままだったりします。もしVRアカデミーに入学した場合は、チームで開発するカリキュラムがありますので、そのときにコードを見せ合ったり、講師の方に書き方について相談するなどして、コーディングの技術を高めて欲しいですね。

頑張ってください!

弱点があるのは当然、自分が出来ることを1歩先でも伸ばしていく

2018年8月25日に行われたVRフェス「HELLO VR SHIBUYA!」にて、見事VRアカデミー賞を受賞されたエキスパートコース第3期生、鹿野 綾香さんにインタビューをおこないました。

VRに興味を持ったきっかけは?VRアカデミーはどんなことが学べたのか?そして将来の目標など、気になる内容を聞いてみました。

 

大学卒業後、就職するまでプログラミングは未経験

はじめに鹿野さんの今までの経歴を教えてください。

はい。私は亜細亜大学法学部法律学科を卒業したあと、IT系の会社に就職しまして、そこで主に遊技機の開発等を携わっていました。その後転職し、映像部に入りまして、映像の勉強をしながら制作進行を主にやらせて頂いています。

プログラミングは就職してから学び始めたのですが。実は当時、いろんな会社に興味があってうけていたんです。その中でIT系の会社に内定をもらって、たまたま配属されたのが遊技機をやっている場所だった感じです。なのでプログラミングを学びはじめたのもその頃からになります。

VRを知ったきっかけはVTuberから

VRを知ったきっかけはなんだったのでしょうか?

VRとの出会いは、今年の年始(2018年1月)にバーチャルユーチューバー(以下VTuber)っていう存在を知りまして、そのVTuberをやるためにはVRを使ってモーションキャプチャーをしているらしいというのを知ったのです。VRって聞いたことあるけどやったことないなぁと思いまして、なら体験してみようと思って秋葉原のツクモさんにVRの体験をしに行ったのです。

その時、たまたま店舗で配布されているVRランナー(VRを牽引するトップランナーのインタビュー誌)を見てVRアカデミーを知って、これは行っちゃおうと思いまして説明会を予約してそれから入学してしまいました(笑)

では別にVRではなくてVTuberを作るための技術を学びたいと思って入学したのでしょうか?

いや、そこまでは特に考えていなかったです。VRってなんだろうという感じで。

では結構軽い感じで入学されたのですね。

そうですね。今までVRを体験したことがなかったですし、
でも入ってみたら単純にVRを学ぶことが楽しかったです。

入学して2ヶ月で自分が作りたいものの実装イメージが出来るように

実際に入ってみていかがでしたか?

はい。VRアカデミーは授業が結構詰め込みなところがあるじゃないですか。自分は追い込まれたらやるタイプだったので、そこで集中してコンテンツを作ることに集中して勉強して。

その結果Unityを使うことに凄く慣れたっていうのが大きかったです。受講前に何度かUnityを少し触った経験はあったのですが、毎回どういう感じで作ろうと思ったときに、調べてから作っていくというのをやっていたんですけど、その調べる頻度が減っていって、だんだん頭の中で作りたいものの実装イメージが思い浮かんで、じゃぁこの内容はこんな方法でやろう。というのが思いつけるようになったんです。

それは入学してからどれくらいで出来るようになりましたか?

入学してからですと、ハッカソン(VRアカデミーで行われる全コース合同の短期間開発イベント。入学後3ヶ月目でおこなわれる)のあたりで出来るようになってきました。大体2ヶ月くらいです。

授業の日以外も勉強されていたのでしょうか?

そうですね。勉強していました。ただそれは毎回課題があったので、それをちゃんとやっていこうという気持ちで望んでいたんです。その課題をクリアするための勉強をはさみながらやったことが大きかったと思います。

 

映像制作の人とエンジニアの間の橋渡し役になりたい

鹿野さんの今後の夢やVisionを教えてください。

私の目標は、ゴリゴリのエンジニアというよりは、コードも書けるし映像制作も分かるというような人です。実際現場だと映像の人がこうしたい。というと、エンジニアの人がそれは出来ない。という場面が結構あって、そういうところの橋渡し役になりたいと思っています。

ただ、ものづくりも好きなんで、完全にそこに向けて行きたいかって言われると悩みどころではあるんですけど。でもやっぱり1つに特化するというよりは全体を知って、チームが滑らかにコンテンツを作っていけれるような人になりたいです。

 

弱点があるのは当然、自分が出来ることを1歩先でも伸ばしていく

最後に先輩としてメッセージをお願いします。

私って弱点が、映像的なビジュアル面を良くするであったり、CGコンテンツを作るとか、そういうところが弱いんです。
ハッカソンで悔しい思いをして、VRフェスで授与されるVRアカデミー賞(フェス当日、参加した体験者の方に好きな作品に投票をしてもらい、最多投票数の作品に授与される賞のこと)を取りたいと思ったときに、じゃぁ自分はどうやったら勝ち抜いていけるんだって考えたんです。
その時考えたのが、体験するお客様に喜んでもらうには何もコンテンツの面白さだけじゃないと考えました。実際に展示の方法とか、どんな風にお客さんに説明したらいいかとか、そういうところも気にしながらやってみたんです。その結果で賞がとれたと思っているんですね。
体験を案内している鹿野さん
やっぱり弱点があるのは当然だと思います。なら自分が出来ることで、何か一歩先に登れるものがあればそこを目指して掴んでいくってことがより良いコンテンツを作っていくための1つの足がかりなんじゃないでしょうか。
そう私は思っているので、開発中、弱点で心が折れそうになったときもあるんですけど、やっぱり自分に出来るその一歩を大切にすることがコンテンツを作る上で大事なことなんじゃないのかなぁって思っています。
VRアカデミー エキスパートコース
第3期生 鹿野 綾香 さん