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VR×ライフスタイル~VRは民主化する~
ナーブ株式会社 代表取締役CEO 多田 英起
VRのB2Bビジネスで成功している会社はまだ少ない中、国内最大のVRプラットフォームを形成し、数多くの大手企業と提携、着地させている先進企業がある。それがナーブ株式会社。今回はこのナーブを率いる代表取締役CEOの多田氏にインタヴューを行った。
VRを使ってユーザーが困っている本質的な問題や課題解決をしていきたい!
VRビジネスやサービスをやろうと思いたったのはなぜですか?
はじめに、ドラック&ドロップでVRを簡単に作れる「VRコンテナ」というミドルウェア的な製品を開発しましたが、全く流行らなかった。VRで一つ目の失敗です。 次に、ヘルスケア用途だと思い、フィットネスに使いましたが、有酸素運動は長時間利用するのが通常で、しかも汗が溜まってレンズが曇る。そんな弱点に気付きました。VRは短い時間の体験に向いているんです。VRの体験でアンケートを取ると皆異口同音に「楽しい」と答え、次に人に伝えたいですか?と聞くと皆「友達に伝えたい」と答えます。しかし、もう一回やってみたいですか?と聞くと誰もやってくれないという結果が出ます。VRはリピート率がとにかく低い。これはVRでしか発生しない一つの特徴で、〝VRジレンマ〞と言えるかもしれません。4年前に、こんな大失敗をしたのは、当時我々しかいなかった。そんな失敗したことに逆にビジネスチャンスを感じました。絶対に我々のビジネスは成功すると思いました。
日本製オリジナルVRゴーグルを開発!
ナーブオリジナルのVRゴーグル「CREWL(クルール)」 を開発したワケは?
今のVRゴーグルは、VRを見たくないという人に対してインセンティブが無さ過ぎます。VR好きな人以外は、今、ゴーグルは着けてくれないという現状では、ビジネス化は出来ないことに気づき、女性でも誰でも、VRゴーグルを着けてくれる「オリジナルデバイスをつくろう」と「クルール」を開発しました。
VRはマルチで何でも出来ます!と展開する人もいるでしょう。しかし、ある一定の業界においては「分かり易いが勝つ時がある」。ビジネスに利用する場合は、シンプルで便利なハードが必要です。簡単さは絶対にあり。ウチは分かり易いをとりました。VRゴーグルで一番重要なのはレンズです。元々は、レンズを海外で作ろうとしましたが、我々の設計が細かすぎて、日本でなければ作れなかったのです。今のモバイルクルールは4代目。完成度は62パーセント。及第点には乗ったと感じています。新しいモバイルクルールは更に、光学設計の限界にチャレンジしています。
一番最初から思っていたことは「VRは民主化する!」
ナーブが目指す「ライフスタイルVR」をお聞かせいただけますか?
現在の展開中のサービス「VR内見」、「VRトラベル」、「どこでもストア」、「VRホームステージング」、「どこでもSTAY」に加え、今後は中古車、ウェディング、飲食系までライフスタイルに関わるところは全て展開していく予定です。一番最初から思っていたことは「VRは民主化する」。VRはVRフリークやギークのものだった時代はもう終わります。
VRが民主化されるためには、VRはギークのものじゃないと証明する必要があると思います。うちのモバイルクルールは、女性が使うというコンセプトでやっています。町の中で普通に馴染むVRは民主化します。近い将来生活の必需品としてVRを使うことが当たり前のような時代が来ると思います。なぜかというとシンプルに人は経験したコトしか判断が出来ないからです。VRを使えば新しい体験をしたことがなくても、皆同じものをイメージすることが出来ます。
今は情報の非対称性が起こっている〝売り手〞と〝買い手〞の間において、〝売り手〞のみが専門知識と情報を持ち、〝買い手〞はそれを知らないというように、双方で情報と知識の共有が出来ていません。その状態で、生活に根付いた瞬間で、ライフスタイルイベント(旅行、ウェディング、住宅・不動産など)には、プロとアマチュアの差が出来てしまいます。これをVRを使ってなくしてしまおう!というのがライフスタイルVRの根幹的要素です。
まだまだ新しいことがやれるブルーオーシャン!興味があることを深くやる!
これからVRコンテンツ開発しようとしている人達にメッセージをお願い致します
10年前のスマホのエンジニアと同じように、VR/ARのエンジニアは、これから圧倒的に需要が高まる分野であるのは間違いありません。そのためにも圧倒的な速度で学んでいかなければなりません。おそらく3〜5年で別世界をつくって行けるでしょう。
何より面白いと思うのは自分たちが走ったことが正解になっていくことです。気づかないうちにキャズムが起こっている。5年前に、提案したライフスタイルVRは当初全く受け入れられなかった。今は、不動産×VRなどあたり前をつくっている感は、業界を走っているからこそ感じられること。それはトップランナーしか感じさせてもらえないもので、自分が語ったセルフがすべて本物かのように次を創る楽しさを感じます。
大切なことは、日々の努力をたんたんと続けていくこと、片手間でやらないことです。諦めずに、勝てると思ってやることです。1回目は失敗しても、ちゃんとコミットしろ!思いをもって成功するまでやり続けろ!今は当たり前の常識が変わる瞬間でエンジニアが最高に楽しいタイミングだと思います。このタイミングでVR/ARを勉強するのはすごくいいと思います。是非、チャレンジして、一緒に面白いことが出来たらいいですね!
ナーブ株式会社 代表取締役CEO 多田英起
米国大学卒業後、ITコンサルティングを経験。IT受託開発を10年以上。技術を活用した新しいソリューションをテーマに KDDI社との共同特許を取得後、オープンスタックシェアNo.1の米ミランティス社とのJVの構築などを行う。 ライフスタイルに特化したVR事業(ナーブ事業)をスピンアウトして、国内最大のVRプラットフォームを構築し現在に至る。