VRunner

VRマーケットを牽引するトップランナーのインタビュー誌

VR元年から2年、Vチューバー現象からソーシャルVRへ

VR元年から2年、Vチューバー現象からソーシャルVRへ

VR元年から2年、Vチューバー現象からソーシャルVRへ
株式会社よむネコ 代表取締役社長 新 清士

IT・ゲームジャーナリストとして、また、VRゲーム開発者として活躍する新氏にインタヴューを行った。前半は、日本のVRマーケットの今を解説、後半は現在開発中のVR専用の新作RPG「ソード・オブ・ガルガンチュア」について語っていただいた。

オキュラスGoが日本で米国と同じくらい売れている!

VR元年から2年が経ち、今、日本のVRの状況をどう捉えていますか?

ハードの側面からお答えすると、 どんどん安くなっている。これは予想されたペースより早いと思います。HTCバイブやオキュラスリフトも発売当時の約半額。モバイル系スタンドアロンのオキュラス Goは、2万円強という劇的な安さです。多くの人たちにとって手に取りやすい価格になったのは間違いありません。

VRの利用は、米国ではPCゲーマーが中心で、PC上でVRゲームを遊ぶ層が出て来ています。一方日本国内では、PCゲーム市場があまり大きくないため、立ち上がりの遅れが起きている印象があります。ただ、オキュラスGoが日本で米国と同じくらい売れています。オキュラスGoはスタンドアロンなので、日本人にとって非常にフィットし易い。オキュラスGoでネットフリックスを観るなどのニーズも掘り起こせていて、オキュラス本社も驚いているようです。2年前VRは特別なモノで中々手に入らなかったのが、ジワジワと一般の人に拡がりをみせているのが現状です。更に拍車をかけているのがVチューバーブームです。昨年の12月に突然フッと沸いた大現象です。

特に日本国内では、HTCバイブの在庫がなくなるなど、ここ半年近く続いていている状態。これだけ売れているのは日本だけで、企業のまとめ買いばかりか個人でもVチューバーをやりたい人が殺到しています。VR機器を視聴するためでなく、入力デバイスとして使うことで普及している。VRというものが当たり前の環境になりつつあります。

VRビジネスに関しては、B2Bの市場が着実に立ち上がって来ているのが印象です。我々のTokyo XR スタートアップスで投資をしている会社が成果を上げています。特に2017年から始まった第一シーズンで一番成果を上げているのは、インスタVR株式会社です。VR制作配信プラットフォームで、特に欧米の企業のユーザー数が多く、世界での導入が3万社を超えています。そういうところをひとつとってもB2Bの市場が立ち上がりつつあります。

Vチューバーの数は、更に増え続け、東南アジア圏で定着する!

今の『Vチューバー現象』は、コミュニケーションVRのひとつなのでしょうか?

 

キャラクター主体で日本は動くだろうという予測はあったのですが、まさかこんなカタチになるとは思いませんでした。ターニングポイントは「ねこますさん」がコンビニの店員をやりながら夜な夜なユニティでキャラクターをつくってユーチューブで配信して話題になりはじめたことです。本来であれば非常に参入障壁が高いはずのものが、普通の人でも出来るということがわかった。それがすごく話題になって、皆一斉にやり始めたのが、昨年の12月だったということです。

現在トータル5000体ほどのVチューバーがいると言われています。数はもっと増えていくと思います。更に、今は沢山の会社がVチューバーをつくるためのツールを出してきています。
その中で、Vチューバーでウケるウケないが明確になりつつあります。お客さんを引き付け続けられる会社は、毎日適切な配信が出来ていることが重要です。配信のタイミングが空けば空くほどお客さんは飽きてしまうので、話題性を維持するためには出来るだけ毎日配信する。それを支えられるだけのプロダクション的機能が必要です。そのための制作体制を持っているチームが伸びていて差が付き始めている。どこの会社もバーチャルプロダクションをつくるという方向に向かっていると思います。

この状態は続くのでしょうか?

ある程度続くと思います。ゆるキャラと同じで、多くのVチューバーはビジネス的にはうまくいかないと思います。Vチューバー自体が既に定着しつつあるので、自分でキャラクターやアバターをつくって何かを表現するということが当たり前になりつつあります。それはテレビを見ない中高生の行動形態と合っていると思います。今は中高生が視て面白いバラエティ番組も少なく、そこでユーチューバーが流行っていた。最近それが内容的にもマンネリ化してきたところに、アニメ的なキャラクターのVチューバーが出て来た。その方が新鮮だった。更にVチューバーを見たことがなかった人が一機に流れてきたというのが大きいと思います。

―このVチューバー現象は、日本だけの現象でしょうか?

今のところは日本だけの現象ですが、中国では独自のものも出てきています。東南アジア圏では定着してくると思います。この現象は、根本的なところは、日本人独特の「神様のようなカタチのないものを具現化したい」という欲求があるような気がします。私は、初音ミクは神様を呼び出すための手段のような位置づけだったような気がしていました。実際にそれは自分の身体をせいぜい動画というレベルで表現するものだったものが、今度は肉体に持っていく方向に向かっている。技術はその方向にどんどん流れている印象がします。

VチューバーのワンマンVRライブは、15分で完売!

VチューバーからソーシャルVRへ繋がっているのでしょうか?

 

Vチューバーは、確実にソーシャルVRに向かって行っています。8月末に輝夜月(かぐやるな)さんがワンマンライブを行います。なんとチケットが5千円で初のライブVR課金!15分で完売しました。
スマホでユーチューバーのバラエティ番組を観る感覚で楽しんでいる今の状態から、今度はより高度化している。より中に入って、よりライブ感を感じたいという方向にユーザーのモチベーションは向かっています。VRゴーグルを着けるだけで、VR内に入って観るライブ会場で、皆一緒になって騒いで楽しむソーシャル体験に変わっていこうとしています。
先日リリースされたオキュラスGoの新機能で、VR中継同時体験プラットフォーム「オキュラスビーナス」があります。多人数が他のユーザーと同時にVR空間上で、ライブ中継を視聴することができます。会場にいる他のユーザーと会話しながら観れるのが特徴です。つい先日、コンサートやNLBの観戦も中継されました。

VRゲームは、4人で遊ぶマルチプレイが圧倒的に楽しい!

我々がつくっているゲームもそうですが、4人で遊ぶほうが圧倒的に楽しい。一人で黙々とやっているよりは他の人と一緒にパーティやりながら遊んでいるほうが楽しい。我々がつくった「エニグマスフィア」は、セガのジョイポリスに置かせてもらいましたが、お客様の満足度は1人で遊ぶより2人プレイでやったほうが圧倒的に上がります。バーチャル空間でも人間と一緒にコミュニケーションをとっている方が体験として豊かになる。そのことは、我々は確証をもってわかっています。

開発者にとって表現の限界の壁が突破される!

2020年まで日本のVRマーケットはどう進化していくのでしょうか?

非常にシンプルになって来ていると思います。、オキュラスGOを着けてすごく感じるのは、オキュラスGOはリフトより解像度が高いので360度写真や動画も相当綺麗に視えます。体験もすごくリッチです。今のオキュラスGOが定義されたことによって何が起こるかというと、ここからどう発展するかが明解に見えてくるということです。単純に言うと更に解像度が上がって、チップセットの性能が上がっていくことで表現できる内容がどんどん上がっていく。時間が経てばばたつほどユーザーにとってはリッチな体験ができる。しかも、199ドルという価格設定で出てきたので、この価格帯で数年ほって置くだけでも、自動的に性能は上がっていきます。非常に体験にいいもの低価格で出てくるのが明解になったということです。

それに伴ってソフトも出し易くなると思います。特に、B2Bビジネスは劇的に楽にするだろうと思います。例えば、オキュラスGOがひとつあれば、B2Bの企業内トレーニング向けのソフトも出し易くなり、つくる会社も増えます。B2Bの裾野はすごく拡がると思います。

オキュラス本社としてはオキュラスGoのターゲットは視聴。ゲームとしては来年のオキュラス サンタクルーズがターゲットになると思います。ソニーもPS5のタイミングでVR対応の何かを出してくるのは間違いないと思います。そこでコンシューマーに対してはもう一度やり直しを行うのではないでしょうか。PSVRの弱点は、PS4自体の性能がまだ足りていない。今のPC用のVRに比べると3分の1ほどの性能です。どうしても表現できる限界があって、そこが開発者にとっても限界になっていた。次の世代になってくると、PS上のグラフィックスがVRでそのまま動くようになるので、そこでユーザーの見方が変わりはじめると思います。

この技術に自分の人生をかけたい!

ジャーナリストからゲーム開発者へ再び転身され、チームプレイのゲーム開発に特化した理由は?

そもそもは、オキュラスのビジョンが大きかったというところにあります。オキュラスがTGSの時に、関係者向けにマルチプレイのデモ行いました。それがあまりにもショックでした!それで、どうしてももう一度ゲームをつくりたくなりました。もともと開発のキャリアはあったので、いつかは開発に戻りたいと考えていました。この技術に自分の人生をかけたいという、もの凄く強い思いがありました。

4人プレイ!それぞれの役割を明確にもってプレイできるシステム

何故マルチプレイにこだわるのですか?

 

単純にマルチプレイで役割分担が発生するようなゲームプレイを作っていきたいんです。
例えばソードアート・オンラインにしてみても前衛が敵の攻撃を引き受けて、それを後衛が支援をする。そしてチャンスのタイミングでアタッカーが攻撃をする。こんな感じにそれぞれ役割を明確にもってプレイ出来るシステムをどうすれば作れるのか。それを生み出すのが1つの野望でもあります。前作のエニグマスフィアは2人プレイでしたが、どうしても出来ることが限られてしまいました。そこで、色々考えた結果4人というのがミニマムな数字だろうと結論が出て、今作のガルガンチュアでは4人プレイが出来るシステムを備えています。また、ガルガンチュアはVRを普段からやっているコアユーザーをターゲットにしています。そんな人達にプレイしてもらって「凄い技術の作品だ」って認めてもらえるような作品を作るというのが今回のチームとして大きな目標になっています。

剣のシステムでVRならではの体験を!

ガルガンチュアについてですが、どうして今作は剣でのアクションゲームにこだわったのですか?

 

前作のエニグマスフィアの開発が終了した時、私達は次に何を作ろうというのをグミの國光さんと話し合っていました。今までの経験でどんなVRゲームが世の中に受けるのかはある程度予想を立てられていたんです。
1つはFPS。これは確実に人気の出るジャンルでして、既に人気のあるコンテンツもある状態です。ただしそのFPSゲームを日本の会社が作ってアメリカの会社と戦うのは自殺行為。戦っても勝ち目がない。もう1つはRPG。これは新しい技術が出てくるたびに必ずこの分野からコンテンツが出てくるので、新規IPを出せるチャンスがあります。またRPGは日本のゲーム会社にとっては得意なジャンルでもあります。最後はマインクラフト系。マインクラフトライクに創造性を働かせてVR内で何かを作り、それをゲーム世界に反映していく。ツールとしてはグーグルのチルトブラッシュなどが既に実現していますが、ゲームに落とし込むとなるとまだ成功しているコンテンツは無い状態です。

以上の3つのジャンルは市場を形成するのは間違いないのですが、私達の描くビッグピクチャーは何がベストだろう?と國光さんと議論した結果、端的に言えば「ソードアート・オンライン」の世界なんじゃないかと結論を出したんです。この世界なら日本人でも外国人でもイメージがし易く、つくるVRコンテンツの最終ゴールも明確になる。そのゴールに辿り着くためには企業としてどのステップから始めるべきかと考えた時に、まずは剣のシステムを作ろうということになって始めたわけです。何故剣なのかというと、戦闘システムを考えたときに剣が一番ハードルが高いのが分かっていたからです。弊社ではVRコンテンツを作る上で重要視しているのが「マルチプレイ」と「VRならではの体験」です。通常のコンシューマゲームと同じ仕組みを持ってきてしまうとあまりうまくいかないんです。◯ボタンを押して剣を振るのでなく、きちんと自分で振って攻撃する。そこには剣同士のぶつかりや切り返しなど、きちんと空間を利用したバトルが成立する必要があります。しかし、その機能を実装するのは凄く難しい。特に今回はマルチプレイを絶対にしているので、当たり判定など凄く厳密に設定してあげる必要があります。

だから誰も剣はやらない。しかし、弊社には幸いなことに格闘ゲーム開発の経験がある優秀なプログラマがいるので挑戦することが出来ているんです。実際、今のガルガンチュアはかなり高度な技術でそのシステムが作れているので他社に比べてかなりのアドバンテージが作れていると思います。

こんなタイミングはそうそう無い!

これからVRソフトを開発したい方にメッセージをお願いします。

 

もう面白いからどんどんやるべきです!VR開発の面白さっていうのは道がないことだと思っています。今私達がやっていることはすべてが最先端で、全然常識が通じません。色んな新しい技術がどんどん出てきて、それを自分の中で取り込むだけでも楽しいし、また、すべてが手探りな状態から始まるのでそれも面白い。こんなタイミングはそうそう無いんじゃないでしょうか。もちろん大変なところもありますし、まだまだ市場も立ち上がっている最中ではあります。しかし、そんな状況だからこそ是非トライしてもらって、今までに無い新しいVRゲームを共に作って行きませんか。

株式会社よむネコ 代表取締役社長 新 清士
大学卒業後、ゲーム開発会社を経てIT・ゲームジャーナリストとして日本経済新聞電子版等で専門記事を執筆。16年5月に発売した『VRビジネスの衝撃「仮想世界」が巨大マネーを生む』(NHK出版)は、Amazonの「IT」部門で1位を獲得。デジタルハリウッド大学大学院准教授。Tokyo XR Startups株式会社 取締役も兼務。




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