AR技術によって人と人との繋がりをより豊かに
Graffity株式会社 CEO
森本 俊亨
2021年は、世界市場でのARグラス発売が期待される中、日本では数少ないARエンターテイメントに特化した先進企業であるグラフィティ株式会社の森本代表にお話を伺った。
―グラフィティは何故ARシューティングゲームにフォーカスしているのですか?
グラフィティのビジョンは、AR技術によって「人と人の繋がりをより豊かにする」ことです。私たちは、コミュニケーションが希薄化した現代において、人と繋がるきっかけとなれるようなアプリの制作を目指しています。
プロトタイプを複数開発するなかで、コミュニケーションの活性化にはゲーム要素が重要であり、なかでも、シューティング要素がAR技術と相性のいいことがわかりました。2018年12月にARバトル「ペチャバト」をリリースし、現在は累計16万ダウンロードを突破しています。このARバトルは、筑波大附属高等学校やほか3校の体育授業でスポーツとして採択されたり、総合エンタメ施設等でも取り上げられたりするなど、ゲームの枠を超えたものとなりました。
直近では、さらに世界観を作り込んだ新作ARヒーローシューター「リープトリガー」を開発し、2021年3月にアメリカより正式リリースしました。
―新感覚ARバトルゲーム「リープトリガー」の魅力について教えて下さい。
「リープトリガー」は、自分自身がチャンピオン(ヒーロー)となり、バディと呼ばれるモンスターと共に戦う、ARヒーローシューターというジャンルのゲームです。チャンピオンとバディはそれぞれ特殊なアビリティを持っており、1人のチャンピオンと3体のバディを組み合わせて対戦します。リアルな対面だけでなく、オンライン上での対戦も可能なため、世界中とプレイヤーといつでも・どこでも遊ぶことができます。
「リープトリガー」の魅力は、”リアルに身体を動かす “という体験です。「ペチャバト」のユーザーインタビューを通して、身体性の拡張こそがAR技術ならではの体験だと確信しました。そのため新作では、身体を動かすことがゲームで有利になる仕掛けを多く取り入れました。
日本でも後日リリース予定なので、ぜひ友だちや家族と一緒に身体を動かしながら、活発なコミュニケーションをとってください。
―益々期待を集めるARグラスが普及し始めるのはいつ頃だと予想しますか?その普及までの進化のステップについてお答えください。
マーケットリーダーであるApple社が、いつARグラスを発売するかがポイントになると考えます。リーク情報と技術的な観点から、2022年〜2023年にARグラスが発売されるのではないでしょうか。
そもそもARグラスの進化には、3つの段階があります。現在はARグラスと専用端末(PC/スマートフォン等)が有線で接続し、端末側で処理をしています。次は、有線ではなくBluetoothなどの無線になるものの、引き続き端末側で処理をする段階です。最終段階では、5Gの普及をベースにARグラスとクラウドで全ての処理が完了します。
App le社が発売するARグラスは、現状のiPhoneの処理能力を考えると2段階目になると思います。5Gが普及する2025年には、最終段階を迎え、ARグラスが一般化することでスマートフォンを代替しはじめるでしょう。
「リープトリガー」は、オンラインで世界中のプレイヤーと、オフラインでは友達と対戦できるARシューティングゲームです。
―AR技術は私達の生活にどのように浸透し、使われはじめると考えますか?
AR技術はすでに身近で浸透しています。一番わかりやすい例は、SNSのフェイスフィルター機能ではないでしょうか。私達はこの機能をインカメラARと呼んでいます。アウトカメラにおけるAR技術は、ポケモンGOのようなゲームが中心です。もちろん、私達の開発するARシューティングバトル「リープトリガー」もそのユースケースを拡大できると考えています。
ARグラスが普及する初期段階においても、ゲームを中心に浸透していくと思います。例えば、普段の料理をゲーム感覚で進めたり、「食べる」という体験をより健康に近づくコンテンツとしてクリアしていったり、日常の生活がより楽しくなるイメージです。さらにARCloudと呼ばれるAR時代のインフラが整えば、ARコンテンツの保存や共有ができるようになるため、ARグラスは我々の生活に欠かせないものとなるでしょう。
バトルをサポートするバディです。バディは3体デッキにセットすることできます。自分だけのデッキで勝利を掴みましょう!
―xR業界に就転職を目指すエンジニアの方へのメッセージをお願いします。
xR領域ではUnity を中心に使って開発する企業が多く、Unity を学習することがまずはじめのステップになると考えています。Unity をある程度経験したことがある方はもちろん、特にゲーム開発経験のある方はxR領域で即戦力として活躍できると思います。また、Unity 未経験でもAR開発をはじめることはできます。特に、ARプロモーションなどのtoBで事業展開している企業とは相性がいいので、そのような会社に就転職することを目標にしてはいかがでしょうか。そして、もちろんグラフィティ でもエンジニアを採用しています。ゲーム開発経験があり、xR領域に興味ある方はお気軽にご連絡ください。
森本 俊亨|Toshiaki Morimoto
1994年生まれ。慶應義塾大学理工学部情報工学科にて機械学習を研究。ABEJA経営陣直下でのAI事業開発、PKSHA Technology AIアプリケーション開発、ドワンゴAIラボにてDeepLearningを利用した動画の次時刻予測の研究開発を経験。その後、2017年8月にGraffityを創業。