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VRマーケットを牽引するトップランナーのインタビュー誌

トップランナーインタビュー【株式会社積木製作】常務取締役赤崎さん

トップランナーインタビュー【株式会社積木製作】常務取締役赤崎さん

この10年間成長し続けている積木製作その成功要因は!

株式会社積木製作 常務取締役
赤崎 信也 様

2016年VR元年と言われてから8年が過ぎ、日本のVR開発企業で成長し続けている株式会社積木製作の赤崎常務に8年ぶりにお話をお伺いしました。

Q:8年前は建築系のクライアントの仕事が多い印象がありましたが、現在は全産業に拡がっているのですか?

赤崎さん:やはり建設系に強というのは最初から大きかったんですが、 2016年ぐらいから建設業と製造業のお客様から同時に受注することができるようになりました。現在は医療系の仕事まで拡がっています。医療系の仕事などの幅を拡げていくと、その業界に関心を持っている人との接点が増えて人材獲得にも役に立っています。

Q:この10年間成長し続けている積木製作!その成功要因は何ですか?

赤崎さん:大きくは2つあると思います。1つめはVRの開発を始めるのが早かったことです。2013年は現在の一般向けVRヘッドセットの先駆けとなるのOculus初号機となるOculus Rift DK1(Development Kit1)が出荷されて、既にVRは建築業界では必要とされていました。その時既にVRをやろうとしていました。そんな中、2013年に弊社のCQO(Chief Quality Officer)である小田桐貴司が入社しました。彼はCGクリエイターでありながらWEB制作やアプリ制作の実務経験があるという経歴で弊社のVRエンジニア第一号となります。ゼロからUnityを習得し、建築VRを展開するため、弊社のVR事業がスタートしました。そのことも重なりVRをやろうと思った時期が早かったことが大きかったと思います。

2つ目は、弊社が先駆者として自負しているVR安全教育の最初のお客様との出会いです。展示会でお会いしたのをキッカケに、2015年当時、お客様から「安全にまつわる教育でVRを使用したい」との要望をいただきました。それで日本におけるその当時初となるVRの安全教育を創ることができました。最初に安全教育VRを創りたいというお客様の声がなければ我々の現在の主力事業が全く別のものになっていたかもしれません。そのお客様には本当に感謝しています。

「安全体感VRトレーニング」は300社以上の導入実績を持つ積木製作の主力サービスに成長した

Q:2024年の今、力を入れている分野を教えてください?

赤崎さん:それは今も変わらずに教育系トレーニングのVRです。安全教育ばかりでなくそれ以外のトレーニングもどんどんやって行きたいと考えています。既にそうなって来ているのですが、安全教育以外の教育系トレーニングの拡がりは大きいと感じています。

例えば、JR東海様の案件は、新幹線のホームの係員さんのトレーニングのVRをつくりました。それは実際に駅のホームの点群データを収録し、CGで精巧に制作して再現しています。ホームに新幹線車両が到着して挟まれた人がいた場合に、その人をどう助けるか!とういうトレーニングができるものをつくりました。そういう安全教育を含めたトレーニング全般に力を入れています 。

また、最近のお客さんの要望としては、メタバースも増えてきてるので、トレーニングVR×メタバースなどにも行っています。

Q:そんな中で特に開発面で、注力している点はありますか?

赤崎さん:基本的には変わらず、やはりCGをしっかりつくることです。それが弊社の強みになってるので、 そこをまず忘れないようにとしています。弊社はXRの会社ですが、弊社の強みとしてはCGの綺麗さと質です。もちろん体験の質やシナリオも大切ですが、VRゴーグルを被って1秒でわかるのはCGの質なので、CGの綺麗さクオリティが大切です。最近のお客様でも弊社に決めていただいた理由は、「CGが綺麗ですね」というお話で、決め手はやはりCGのクオリティでした。

弊社のCGのクオリティの高さはかなりの強みになっていると思っているので、CGはしっかりつくる。当然システムも含めなんですが、しっかりと高クオリティのコンテンツをつくって行くというのは忘れないようにしています。サービスもどんどん増やして行ったり、新規事業を行ったりというのもありますが、やはりしっかりと受託開発する中で、いいものをつくるということを心掛けています。

BLS Basic Life Support Training VR 【一時救命措置VRトレーニング】

Q:そんな成長の中での今の課題は何ですか?

赤崎さん:企業は常に課題があって、それを順次解決して行くと思います、例えば今、メタバースに取り組み出してから、案件の難易度が凄く上がっています。そこに対して どうやっていくか?というのはひとつの課題です。また、組織も大きくなって来てるので、組織的な人材をどう獲得して、どう配置するか?などもあります。今の課題は、5年前にはなかったのですが、やはり今の課題の方が難くなっています。

会社としてだんだん大きくなって来ると、ある程度できることが増えていく一方、課題は難しくなってくると感じるので、今その組織周りとやはり案件の難易度がすごく上がっていて、僕らももう一皮二皮剥けないといけないと感じています。ただ、それが危機ということではなく、楽しみながら取り組んでいます。

―Q:案件ごとのクオリティを上げために工夫していることはありますか?

赤崎さん:それは案件ごとに3つの部門の担当責任者によるクオリティのチェックと教育です。毎月社内で品評会を行います。営業部門とCGは私が担当し、システム関連はCTOの小田桐達哉が担当しています。案件ごとにまた担当者ごとにクオリティが上下しないようにワークフローなど作成し、納品前に必ず全てチェックしてクオリティの確認を徹底します。

常に顧客視点で考え、何が課題なのか、何を求められているのか、どうすれば解決できるのか徹底した顧客視点を持つ事が重要です。更に言えば、顧客が気付いていない課題、不便さを解決する手法を提案できれば、もっと大きなビジネスになるのではないか、その様に思います。

―Q:そのための会社のチームづくりで何か行っていることはありますか?

赤崎さん:3年前に改めてビジョンを作りました、そこは1つ大きいと思っています。いいものを創り続けるために、改めてビジョンは必要だと思ったんです。

ビジョン・ミッションはこちら!

Vision
全産業の未来(あした)を設計する
私たちは全産業の未知なる可能性と共に歩み、未来への繋がりを支える基盤を形作っていきます。
Mission
・3Dのチカラで世界を元気に
・イノベーションを起こし社会から尊敬される企業へ
・信頼できるチームで最高の価値を創り出す

 

それまで間のスタッフが10人、20人であった頃は、ある程度のことは、阿吽の呼吸や普段のコミュニケーションでやっていけたのですが、 更にスタッフが30人・40人と増えると、やはりビジョンや人材育成が必要です。特にマネージャー育成が重要です。 まだ全然できてるとは全く思ってはいませんが、そこにトライしてるという感じです。

 

―Q:今、XRの領域で注目していることはありますか?

赤崎さん:私たちは6月にAWE 2024(Augmented World Expo※1)に参加しました。 AWEでは凄くグラス型が増えていました。AppleVisionProではないですが、MRのような使い方してる人が多いと思います。 やはりMR系は増えてくると思っています。グラス型等がどんどん進化して行くと、クラスを掛けて歩くということも出てくると思います。私たちのお客さんで言うと建設現場にグラスを掛けてどんどん現場に出て行くように なって行くと考えています。そういった現場系の市場は、現在のトレーニング系のVRの市場とは結構違うと思っています。VRのトレーニングは現場に行くまでの準備の段階になっているので、それも凄く重要ですが、現場に出た方が市場としてはずっと大きいんです。デバイスが引っ張って行って加速して行くと、ある程度現場に出た市場が増えて行くと思っているので、弊社も必ずそこはやって行きます。

※AWE 2024(Augmented World Expo)は、2024年6月18日から20日までの3日間、米国カリフォルニア州ロングビーチで開催された。

Q:今後、会社が成長し続けるための計画や戦略はありますか?

赤崎さん:やはり戦略としては 継続してトレーニング系に注力して行くということです。シンプルに強みを活かすことです。その強みを活かすというのは、全社員それを認識している必要があると思うので、 そこは意識して行っています。 それはマインド的なところですが、トップや経営層またマネージャーだけでなく全社スタッフが自分たちの強みをちゃんと共有して戦って行くというところです。

ARグラスの現場利用に関しては、建築現場における検査にARを活用することを進めています。建物が計画通りにできてるかどうかをXRを活用しょうということです。プラス、やはり私たちは3次元 に強みがあるので、単にpdfなどを表示するというようなことではなく、3次元データをしっかりと使った作業支援などがどうできるか、その辺りはやりたいと思っています。

Q:この8年間でVRアカデミーの卒業生を7名採用していただいています。今、どんな人材を求めていますか?

赤崎さん:これからチャレンジしたい現場で使う通信系や位置認識などに秀でたエンジニアは歓迎します。またエンジニアに限らず、マインドとしては、我々の取組みはBtoBでエンタープライズ分野でやってるので、そこに対する誇りと社会貢献という気持ちを持ってる方であれば、弊社はかなり評価します。スキルはある程度でも、そのマインドを持っていれば、スキルは後からでも付いてくると思っています。

Q:最後にxR業界にこれから就職・転職を目指す方へのメッセージをお願いします?

赤崎さん:業界自体はすごく面白いですし、 直近でAWEに行って感じたのですが、凄い人気で2日間のチケットが1100ドルでも会場は満席になっていて、本当に参加者が熱狂している。やはり本当に XRを信じてる人があれだけ集まるというのは凄いと思いました。

やはりそれだけの市場があるということだと思います。数字的に言うと、今年で 全世界で約5.5兆の市場規模らしいんですね、日本も5,000億ぐらいあるという話なので、 結構日本の市場も大きいですし、凄く面白い。特にBtoBですね、エンタープライズ系の方が今大きいらしいです。

今、どんな会社もUnityエンジニアを欲しくなっています。何故なら今までの求人は2つの軸がありました。1つはゲームなどのエンタメ系と、もう1つは弊社のようなBtoBのエンタープライズ系と、大きくは2つこれまでは考えられたと思うんです。今はおそらく全業種が必要で、製造業でも建設業また医療業界でもUnityエンジニアを求めていると思います。

就職先として大企業も全然あり得る時代になって来てると思います。私たちからするとUnityエンジニアの取り合いになるのですが、そういう意味でも是非皆さんもUnityを学んで、XRに取組んで行くと面白いですし、XR業界でやるのは本当に楽しいと思います。

常務取締役 赤崎 信也|Shinya  Akasaki
同志社大学機械工学科卒業。機械エンジニアを3年間経験しCG制作の世界へ。2005年積木製作入社。以来建築CGの制作に携わる。2013年頃からVR事業を開始し、数多くのVR案件を経験。セールスプロモーションVRや建築、建設業界向けのVRで多くの実績を積む。300社を超える導入事例を持つ「安全体感VRトレーニング」事業を立ち上げ、事業の柱に成長させる。

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