VRunner

VRマーケットを牽引するトップランナーのインタビュー誌

VR×マンガ~私達がVRのルールをつくるチャンスがある

VR×マンガ~私達がVRのルールをつくるチャンスがある

VR×マンガ~私達がVRのルールをつくるチャンスがある
株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部 プロジェクトリード 曹 家栄

「結婚指輪物語VR」は現在月間ビッグガンガンで連載中の「結婚指輪物語」を原作とした没入型エンターテインメント作品。原作マンガのビジュアルとストーリーをVR空間の中で体験することが出来ます。今回はそんな結婚指輪物語VRの3つの特徴のご紹介と、プロデューサーの曹さんのインタビューをお届けします。

誰でも楽しめる分かりやすいコンテンツを作りたかった

VRでマンガ作品をやろうと思いたったのは何故ですか?

少し前になりますが、私がはじめてVRを体験した時「自分が完全にVRの世界に行った!」というような衝撃を受けました。そのときから是非VRを使ったコンテンツを作りたいと思ったんです。
当時のVR作品はシューティングゲームやジェットコースターのような刺激の強い作品が主流だったんです。もっと多くの人にVRを体験してもらうには、誰でも楽しめるような分かりやすいコンテンツを作るべきなんじゃないかと考えるようになりました。それから色々考えた結果、一般の人でも普段よく触れているコンテンツをテーマにするべきじゃないかと結論を出しました。

それがマンガだったんですね。

はい。VRは本当に面白くて素晴らしい技術なので、ゲーマーだけのものにするのは勿体無いと感じていました。マンガならばゲーマー以外の人でもVRを楽しめる良いコンテンツになるんじゃないかと考えたんですね。またもう一つの理由としては「VRならでは」のコンテンツを作ることです。

個人的な意見になるのですが、例えばVRのシューティングゲームを作ったとします。それは確かに今までのゲームと比べて立体感はあると思うんですが、遊びの体験としてはそんなに劇的に変わるものではないと思うんです。だから作るなら平面の画面では表現出来ないことをやる。また、他の会社で出来ることはうちではやらない。あと最後に弊社は日本の企業ですから日本でしか作れないものは何か。ということを考えた結果、今回マンガを選択しました。

私達がVRのルールを作るチャンスがある

曹さんにとってVR開発の何が面白いですか?

私は小さい頃からずっとゲームをプレイしてきたんですが、成長に合わせてゲームもどんどん進化してきたわけです。僕がゲーム業界に入ったときにはいわゆる「みんなが考えるゲームデザインのルール」が
半ば決まっているように感じてしまいました。もちろんそういったコンテンツを開発する面白さはあるのですが、VRのような新しい媒体はまだそういったルールが決まっていなくて、逆に言えば私達がそのルールを作れるチャンスがあると思うのです。

私はそういうことに凄くやり甲斐を感じています。また、人生の中でスマホやインターネットなど劇的な技術の進化はそう何回も無いと思っています。私はVRもその中の1つだと思っていて、そんな技術の進化に対して歴史を残せる可能性があるというのがVRをやっていて良かったなと感じています。

最後にVRコンテンツの開発を目指す方にメッセージをお願いします

VRコンテンツを作るには当然プログラミングだけでなく、3DCGの技術だったり、3D空間を設計したり、UIを設計したりなど凄く高度な技術力が必要だと思うんです。VRコンテンツの開発に興味を持つ人達は皆頭がいいんじゃないかと思っています。そういう意味で自信を持っていただいて、是非自分自身の能力を発揮して欲しいです。またVR業界はアイデアが凄い溢れていて、自分が想像していなかったコンテンツがどんどん作られているんです。例えば海外ではVRでチェーンソーを体験してみて気に入ったらオンラインで購入出来るサービスがあるんです。これって完全にSFの世界じゃないでしょうか。そんなことも含めてVRは私達の生活に大きく貢献出来る分野だと思うので、是非頑張って、人々をアッと言わせるものを作ってくれることを期待しています。

株式会社スクウェア・エニックス テクノロジー推進部 プロジェクトリード 曹 家栄
アメリカの大学を卒業後、インタラクティブゲームへの情熱を追求するため来日。 2012年にスクウェア・エニックスに入社し、AAAゲームタイトルの開発に携わる。 VRの技術と出会い、リアルタイムゲーム技術を融合させた没入型ストーリーの 制作プロジェクトを立ち上げ、現在、結婚指輪物語VRのディレクター兼プロデューサーを務めている

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