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【イベントレポート】第19回XRハッカソン

2026/06/28

VRアカデミーTAの花本です。

今回は、VRエキスパートコース・AIスマートグラスコース合同で実施された「XRハッカソン」の様子をレポートします。

今回のハッカソンでは、積木製作所の皆さまにテーマ設定および審査員としてご協力いただきました。受講生の方々は、2週間という限られた期間の中で、2030年の社会や暮らしを見据えたXRコンテンツの企画・開発に取り組みました。

受講生の皆さんがどのような視点で課題を捉え、XR技術を使って未来の体験を形にしていったのか、レポートします。

 

目次

◆XRハッカソンとは?

XRハッカソンは、受講生がチームでXRコンテンツの企画・開発に取り組む実践型のイベントです。

普段の授業で学んだUnityやXR開発の知識を活かしながら、短期間で企画立案、実装、発表資料作成、プレゼンテーションまでを行います。

ハッカソンの大きな目的は、「実践を通して、チーム開発に必要なスキルを身につけること」です。

実際のXR開発では、エンジニアリングの力だけでなく、課題設定、ユーザー体験の設計、役割分担、スケジュール管理、プレゼンテーションなど、さまざまな力が求められます。

今回のハッカソンでも、受講生たちはそれぞれの得意分野を活かしながら、チームで協力して作品制作に挑戦しました。

 

◆テーマ発表

今回のハッカソンのテーマは、積木製作所の皆さまから提示された「Bridge to 2030」です。

2030年に向けて、XRやAI、スマートグラス、デジタルツインなどの技術がどのように社会に実装されていくのか。その未来像を考えながら、現在の技術で実現できるPoCとして形にすることが求められました。

受講生の方々は、単に新しい技術を使うだけではなく、「誰の、どのような課題を解決するのか」「2030年に向けて今から検証すべき体験は何か」という視点から企画を検討していきました。

 

◆制作活動

テーマ発表後、各チームは企画の方向性を話し合い、制作活動を開始しました。

2週間という短い期間の中で、課題の整理、コンセプト設計、技術検証、実装、デモ動画の作成、発表資料の準備までを行う必要があります。

そのため、各チームでは早い段階で役割分担を行い、限られた時間の中でどこまで実装するか、どのように作品の魅力を伝えるかを考えながら制作を進めていました。

今回の作品では、VR・MR・AIスマートグラス・3D空間データ・音声操作・位置情報・デジタルツインなど、多様な技術やアイデアが取り入れられていました。

 

◆作品発表

最終報告会は、当初は積木製作所のオフィスでの開催を予定していましたが、台風の影響によりオンラインでの開催となりました。

対面での発表は叶いませんでしたが、各チームはオンライン上でもデモ動画や発表資料を活用しながら、2週間の成果を発表しました。

作品のコンセプト、課題設定、実装内容、デモ、今後の展望などを短い時間で伝える必要があり、各チームとも工夫を凝らしたプレゼンテーションを行っていました。

 

■Aチーム「2030年の生活シミュレーション型 XR内見 PoC」

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Aチームは、「家を見るから、暮らしを試すへ」をコンセプトに、XRを活用した新しい不動産内見体験を提案しました。

図面や写真だけでは分かりにくい部屋の広さ、家具配置後の圧迫感、時間帯による雰囲気の違いなどを、VR空間上で確認できるようにした作品です。

Meta Quest 3を用いた空間内の自由移動、家具の表示・非表示の切り替え、朝・夕方・夜のライティング変更などを実装し、入居後の暮らしをより具体的にシミュレーションできる体験を目指しました。

「家を見る」のではなく「暮らしを試す」という視点が明確で、不動産業界におけるXR活用の可能性を感じさせる作品でした。

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■Bチーム「MRを用いた伐倒作業支援」

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Bチームは、林業における伐倒作業の危険性に着目し、MRを用いた作業支援アプリケーションを開発しました。

林業では労働災害の発生率が高く、特に伐倒作業中の事故が大きな課題となっています。そこでBチームは、Meta Questのパススルー機能を活用し、木の高さの計測、伐倒方向の予測、受け口・追い口の確認、仮想チェーンソーによる作業シミュレーション、退避方向の確認といった一連の流れをMR上で体験できるようにしました。

現場でのシミュレーション、初心者向けの教育・研修、林業体験やPRイベントなど、複数のユースケースが想定されており、XRを安全教育や現場支援に活かす可能性が示されていました。

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■Cチーム「AIグラス時代の新しい広告体験」

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Cチームは、AIグラスが普及した未来における新しい広告体験を提案しました。

検索広告やスマートフォン上の2D広告が変化していく中で、AIグラスを通して見る現実の風景や行動文脈そのものを、新しい広告体験の場として捉えています。

作品では、街中で特定のエリアに入ると「割引・広告あり」とさりげなく通知され、ユーザーが「見せて」と音声操作をした場合にのみ広告を表示します。また、「道順」と話すと、広告が目的地までの案内として機能する体験も実装されていました。

広告を一方的に見せるのではなく、ユーザーの同意を前提に、広告を「ノイズ」から「価値あるガイド」へ変えるという発想が印象的でした。

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■Dチーム「空間インターフェースの進化による発見体験の設計」

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Dチームは、「最短距離の時代から、街との偶然の出会いを楽しむ時代へ」という未来像を掲げ、2030年の発見体験をテーマにした作品を発表しました。

目的地まで最短で移動するだけではなく、街の中で偶然の出会いや発見を楽しむこと。情報が一方的に押しつけられるのではなく、人に寄り添いながら現れること。そうした未来の体験を、XRやAIグラスの文脈で捉え直した作品でした。

移動や情報取得が効率化される一方で、街を歩く楽しさや予期しない発見をどのように残していくかという視点があり、都市体験とXRの関係を考えさせられる発表でした。

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◆卒業生による個人作品紹介

また、今回は2名の卒業生による個人作品も紹介されました。

1つ目は、Ray-Ban Metaを活用したモビリティ保守の提案です。

この作品では、現場作業者がスマートグラスを装着し、「見る・喋る」という自然な行動を通して、点検内容をAIや専門家と共有し、最終的に台帳へ記録する仕組みが紹介されました。

自転車メンテナンスを例に、作業者の主観映像や音声入力を活用しながら、AIがチェック観点の提示や画像確認などの一次対応を行い、人間の専門家が最終確認・承認を行う流れが示されていました。

現場では、手がふさがっていたり、作業後に記録をまとめる手間が発生したりすることも多くあります。スマートグラスを活用することで、点検・相談・承認・記録を一連の流れとして行える点が印象的です。

2つ目は、2030年の美術館体験に関する提案です。

美術館には、作品の背景、技法、作者の意図、修復記録など、鑑賞を深めるための多くの情報が蓄積されています。

しかし、現在の展示では、それらの情報が壁のキャプションや音声ガイド、デジタルアーカイブの中にとどまり、来館者の鑑賞体験に十分に結びついていないという課題が挙げられていました。

この作品では、ARグラスを通して作品を鑑賞することで、来館者が作品を見ながら、その背景にある文脈や情報の層を自然に受け取れる未来の体験が描かれていました。

どちらの作品も、AIやスマートグラス、AR技術を単なる新しいデバイスとして扱うのではなく、人の行動や体験をより自然に支えるための提案となっており、2030年に向けたXR活用の広がりを感じさせる発表でした。

 

■積木製作チーム「Hazard Twin」

積木製作チームからは、「Hazard Twin」が発表されました。

これは、工場や倉庫の避難訓練を、経営判断に使える防災診断へ変えるMRツールです。

地震後に火災や煙、障害物が発生した場合、避難ルートが本当に使えるのかを、デジタルツインとMRを用いて事前に検証するという提案でした。

作品では、延焼や煙の広がり、避難ルートの表示、障害物検知によるルート更新などが扱われており、「災害後の現場を、災害前に歩く」というコンセプトが非常に明確でした。

XRをエンターテインメントだけでなく、防災や安全管理、企業の意思決定に活用する可能性を感じられる内容でした。

 

◆審査発表

最終報告会の最後には、審査結果の発表が行われました。

今回は、積木製作所の皆さまによって選ばれる「積木製作賞」と、VRアカデミー側によって選ばれる「VRアカデミー賞」の2つの賞が発表されました。

 

■積木製作賞:Bチーム「MRを用いた伐倒作業支援」

積木製作賞には、Bチームの「MRを用いた伐倒作業支援」が選ばれました。

Bチームは、林業における伐倒作業の危険性に着目し、MRを活用して木の高さ計測、伐倒方向の予測、受け口・追い口の確認、退避方向の確認などを支援するアプリケーションを制作しました。

林業現場における労働災害という明確な社会課題に対し、XRを安全教育や現場支援に活用しようとする視点が高く評価されました。

 

■VRアカデミー賞:積木製作チーム「Hazard Twin」

VRアカデミー賞には、積木製作チームの「Hazard Twin」が選ばれました。

「Hazard Twin」は、工場・倉庫の避難訓練を、経営判断に使える防災診断へ変えるMRツールです。

地震後に火災や煙、障害物が発生した状況をデジタルツイン上で再現し、避難ルートが本当に使えるのかを事前に検証できる点が特徴です。

「災害後の現場を、災害前に歩く」というコンセプトの分かりやすさに加え、XRを防災・安全管理・企業の意思決定に活用する提案として完成度が高く、VRアカデミー賞に選ばれました。

 

◆まとめ

今回のXRハッカソンでは、受講生それぞれが「2030年の未来」を自分たちなりに解釈し、XRを使って社会や暮らしの課題を解決する作品を制作しました。

不動産、林業、広告、防災、モビリティ保守など、扱われたテーマは多岐にわたりましたが、どの作品にも共通していたのは、技術そのものを見せるだけではなく、「その技術が誰の体験をどう変えるのか」を考えていた点です。

2週間という限られた期間の中で、企画から実装、発表までをやり切ることは簡単ではありません。思い通りに動かない部分や、予定通りに進まない場面も多かったと思います。

それでも、チームで役割を分担し、議論を重ねながら一つの作品を完成させた経験は、今後のXR開発において大きな学びになったはずです。

受講生の皆さん、本当にお疲れさまでした。

 

◆おわりに

VRアカデミーでは、VR・AR・MR・AIスマートグラスなど、XR領域で活躍したい方に向けて、実践的な学びの場を提供しています。

授業での技術習得に加え、今回のようなハッカソンを通して、チーム開発や企画力、プレゼンテーション力も身につけることができます。

XRコンテンツ開発に興味のある方、これから新しい技術を学びたい方は、ぜひオープンキャンパスや個別相談会にご参加ください。

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