【全3回】Apple Vision ProのようなARアプリをMeta Questで開発してみよう Part1 | VRプロフェッショナルアカデミー/No1.VR/AR専門プロフェッショナルスクール

技術ブログ

Top  >   技術ブログ  >   【全3回】Apple Vision ProのようなARアプリをMeta Questで開発してみよう Part1

【全3回】Apple Vision ProのようなARアプリをMeta Questで開発してみよう Part1

2023/06/09

◆はじめに

こんにちは!VRアカデミーで講師をしているツキダです。

皆さんは2023年のWWDC23(日本時間6月6日)のニュースをご覧になりましたか?

ついに発表されましたね。Appleから発売する待望のARデバイスとして「Apple Vision Pro」が公開されました。

 

ビデオシースルー型のデバイスで、ARもVRも両方体験出来る本当のMR(Mixed Reality)デバイスとして期待度がとても高まります。

 

実際に現地で体験された方の記事を読む限り、体験満足度は非常に高く、
デバイスが発売されたらたくさんの「Apple Vision Pro」向けのアプリがリリースされることは間違いないと感じています!

 

「Apple Vision Pro」の発売日は来年2024年度の予定です。米国では初旬に発売を予定しているそうですがその他の国や地域はもう少し後になりそうです。

 

ということは米国在住の方と比べて実機を用いたARアプリ開発のスタートダッシュが遅れてしまうことが既に確定しています。

 

そしてこの手の業界はスピードが第一! 先行してリリースをすることは、アプリがまだ少ない状況下の中で、多くの人に体験をしていただけることは間違いありません。

 

そしてAppleの参入によりこれからますますVR・AR業界のソフト開発の需要は高まっていくことが予想されます。

 

 

 

そうなるとこのビッグウェーブに乗り遅れないためには「いち早くゴーグル型のデバイスでARアプリ開発を経験したい!」「ハンドトラッキングを利用したARアプリの開発を学びたい!」
そんな気持ちはないでしょうか?

 

実は既にあるんです!

 

Meta社が開発するVRデバイスであるMeta Questシリーズ(MetaQuestPro、MetaQuest2)を利用することで、ビデオシースルーでハンドトラッキングを利用する。
そんなARアプリ開発を先行して学習することが出来ます。

 

本記事では「Apple Vision Pro」でも利用できるUnity」を用いたARアプリ開発の基礎技術を学習することを目的として、

全3回に分けてARアプリ開発の概論から具体的な実装方法までを解説します!

 

 

◆Apple Vision Pro の特徴をおさらい

さて、改めてApple Vision Proの代表的な機能の特徴を見ていきます。

 

しかし普通の内容ではつまらないので少しだけ開発者目線で紹介を行いたいと思います。

 

 

■特徴1:2つのディスプレイに2300万ピクセルの解像度

公式サイトでは「2つのディスプレイに2,300万ものピクセルを詰め込んだ超高解像度のディスプレイシステム」と記載されています。

しかしこれは実際どのくらいの解像度なのでしょうか?

 

ピクセル解像度はその内容のとおり、画面サイズに埋め込まれた画素ドットの数を示しています。例えばフルHD(2K)動画を例にすると、

1920×1080=207万3600画素 と計算出来ます。

 

これが4Kになるとどうでしょうか? 4Kの動画解像度(3840×2160)であり、計算すると829万4400画素。
そして8Kだと7680×4320となり3317万7600画素と4倍ずつ解像度が上がります。

 

上記計算をもとにすると、Vision Proの解像度は実質4K以上、8K未満であることが分かります。

つまりは片目で割ったとしても1150万画素があり、4Kで撮影した動画などをそのままの画質で再生出来る性能があることが分かります。

 

※余談ですが、一般論として人の目は4K以上の解像度の違いを見分けることが難しいと言われています。しかしこれは見る距離によって変化し、
ゴーグル型のデバイスの場合、非常に近距離から更にレンズを使って拡大して映像を見ることになるので、本物に非常に近い映像で見るためには8K以上、更には16Kクラスの解像度が必要だなんて言われていたりします。(つまり今後の技術進化でもっと綺麗な映像が見れるデバイスが登場する可能性があります)

 

 

■特徴2:視線(Gaze)とハンドトラッキングを用いた入力操作

Vision Proにはコントローラがありません。その代わり視線とハンドトラッキングを使った入力操作を実現しています。

 

具体的には視線で対象物を中心に捉え(これをGazeと呼びます)、その状態で親指と人差し指をくっつける、まるで摘むような動作を行うことで入力操作を実現しているようです。

 

※VisionProにはアイトラッキング機能が搭載されていますが、Gazeでは首を動かしての操作が基本となります。(もしかしたらVisionProではアイトラッキングも組み合わせた操作性になっているかもしれません)現時点では虹彩認証でのログイン機能を提供することが判明しています。

 

実はこの視線とハンドトラッキングを組み合わせた入力操作は今回が初めてのUXデザインではありません。

 

実は2016年にマイクロソフトより発売された初代HoloLensの入力操作が視線と指を摘む動作を組み合わせた入力操作を実現していました。

 

実は現在リリースされている多くのデバイスはハンドトラッキング精度の進化により、指の指し示す方向だけで対象を選んで操作が出来るのですが、

 

Apple Vision Proではそうではありません。特に当時のHoloLensには無かったアイトラッキングやAI技術の進化によるハンドトラッキング精度の向上は目覚ましく、既にXRコンテンツを開発している企業にとっては今ここでGaze操作を組み合わせるメリットについて様々な場所で再議論されているのかもしれません。

 

 

■特徴3:ダイヤル操作によるVRモード・ARモードの自動切り替え機能

もう一つの大きな特徴としてデバイス上にあるダイヤル(デジタルクラウン)を回すことでシームレスにVRとAR空間を切り替える機能を実現しています。

 

この機能があることで、ライトでコンテンツを体験する場合はARモードに

没入して体験したい場合はVRにシームレスで切替えることで

VRとARそれぞれにあった利便性のメリットとデメリットの問題を解決することが出来ています。

 

そして実はこの機能もMeta社のVRゴーグルに実装されています。こちらはホーム画面上でVRとARモードを切替える機能を実現しています。

 

 

■Apple Vision Proの特徴のまとめ

Apple Vision Proにはこの機能以外にもEyeSightモードや3Dカメラ機能。アバター(ペルソナ)作成機能といった様々なユニーク機能が提供されていますが、

 

それらの多くの機能は既に他メーカーから提供されている機能でもあります。

 

Appleは既出の機能や特徴を更により良いデザインにアップデートすることに対して長けた会社であると考えますが、Apple Vision Proの機能を使った開発を学びたい場合は既存のデバイスを用いることで十分に学習することが出来る環境が既に整っていることを示していると考えます。

 

続いて既存のデバイスの特徴。特にAR機能について掘り下げてみたいと思います。

 

 

 

◆Meta Quest ProとMeta Quest 2で体験出来るAR機能(パススルー)について

Meta Quest ProとはMeta社が2022年10月26日に発売したVRゴーグルで、

 

価格は2023年6月現在159,500円で購入が出来るデバイスです。

 

Meta Quest ProはこれまでのVRゴーグルと同じくコントローラが付属していますが、実はハンドトラッキングモードとアイトラッキングをサポートしており、手でアプリ操作を行うことが可能です。

 

更にカラーパススルー機能というモードを利用することでゴーグル前面にあるカメラで撮影した現実世界がVRゴーグルで表示されるビデオシースルー機能をも既に実現しています。

 

詳しい機能についてはVRアカデミーの卒業生でもあるYoutuberとして活動している「ミスターVR」の動画で詳しく解説していますので是非そちらをご覧ください。

 

■Meta Quest 2のハンドトラッキングとパススルー機能について

Meta Quest 2は2020年10月13日に発売されたVRゴーグルです。

Quest Proより安く、6月現在では47,300円で購入することが出来るVRゴーグルです。


こちらもハンドトラッキングとパススルー機能をサポートしており、

「Apple Vision Pro」に近いシステムでコンテンツを体験することが出来ます。


しかしQuest2に搭載されているカメラはモノクロのみになっているので現実世界は白黒に見えてしまいます。

※白黒ではありますが「Apple Vision Pro」に近しいコンテンツ開発を経験するという目的であれば勉強する価値は十分にあると考えます。

 

 

■Meta Quest Pro・Meta Quest 2 の特徴まとめ

 

上記結果をまとめるとApple Vision Proで提供されるUI・AR体験が既に実現出来る内容として下記項目が挙げられます。

 

  1.  ●ハンドトラッキングを用いた入力操作

  2.  ●アイトラッキングを用いた入力操作(Meta Quest Proのみ)

  3.  ●VR・AR切替機能(Quest 2のみモノクロの映像になる)

 

 

いかがでしょうか。この要素だけでも十分にApple Vision Proに近しいアプリ開発が出来るイメージを持てます。

 

 

 

◆ Meta Quest 3が今年秋に登場予定!

 

実はWWDC23が始まる前の2023年6月1日にMeta社より最新のVRゴーグルが今年に発売されることがアナウンスされました。

 

その名前も「Meta Quest 3」です!

 

これまで以上の高解像度・軽量化が行われ、更にこれまでにQuestProでしか出来なかったカラーパススルー機能に標準対応

 

そして肝心のお値段ですが、日本価格にて74,800円で発売を予定しているとのことです。

 

さらなる詳細は2023年9月27日に開催されるMeta社の技術者向けカンファレンスイベント、

 

「Meta Connect」にて発表されるとのことです。

 

ますます盛り上がりを見せるVR・AR業界はこれからも目が離せないこと間違いありません!!

 

 

 

◆Part2の記事はいよいよUnityを用いたARアプリ開発実践編

以上で簡単な最新のゴーグル型デバイスを用いたARアプリ機能の特徴解説は終了です。

 

次回記事はいよいよUnityを使ったQuest2・Quest Pro向けのARアプリ開発を行うための
UnityProject開発環境の構築について取り上げます。

 

次の記事はこちらからアクセス!

 

 

 

◆VRアカデミーからのご案内

 

毎年4月・10月にVRアカデミーは新規受講生のお申込みを受付中です。

 

最新のVR・AR開発について学びたい。その前にまずは実際にお話を聞いてみたい。
という方は下記相談会・オープンキャンパスに Check it out !

 

★VRプロフェッショナルアカデミーオンライン個別相談会&オープンキャンパス実施中

VRアカデミーについてより詳しく知りたい方は下記相談会・オープンキャンパスの参加がオススメです。

どんなカリキュラムなのか。卒業生のVR・AR作品を体験したい方は是非お気軽にお申し込みください。

 

◎オンライン個別相談会

日  時:平日開催 10:30〜21:00 
場  所:オンライン or 対面による面談選択可
説明時間:60分程度
申込み先:個別相談会の詳しくは→ https://vracademy.jp/freesession/

 

◎オープンキャンパス

日  時:毎週土曜日開催 11:00〜18:00 
場  所:XR施設『NEUU』(新宿駅西口から徒歩3分)
    ※WEB申込み完了後、詳細はメールにてご案内します

説明時間:60~90分程度
申込み先:オープンキャンパスの詳しくは→ https://vracademy.jp/opencampus/